ツーリングレポート 小型二輪で行く竜神スカイライン、紀伊、熊野、十津川の旅!!

平成17年6月17日(金)

 代休をもらった金曜日、3連休となる第1日目。朝から医者の梯子をする。内
科(蕁麻疹)、胃腸科(胃潰瘍)、鍼灸院(肩こり)と3件まわって自己負担が1
2,000円。「健康保険の自己負担が3割になったのは、私のような不良加入
者が足を引っ張っているからか。」と、つまらないことを考えながら帰宅したら、1
1時。(厚生労働省のお役人様、私を攻めないで・・・・。)
 折角の3連休なので、遅まきながら1泊ツーリングに出かけることにする。目
的は、奈良竜神スカイライン、和歌山熊野参り、奈良十津川。
長年の相棒、原付2種 CB125Tをガレージの奥から出して来て、エンジン始
動。新聞屋のビジネスバイクのような音を立てながら12時前に出発する。
 大阪中央環状線を南に走る。まだ梅雨の入りとはいえ、正午の日差しは強
い。早くも、出かけたことに後悔する自分が情けない。
羽曳野市で休憩。時計を見るとまだ1時。出発して1時間しか経っていない。PL
教のモニュメントを眺めながら、缶コーヒーを飲む。
すると、遥かに見える高野山に、闘志がメラメラ沸いて来る。カフェインが入らな
いと心身が動かないのは、サラリーマンの悲しい体質か?
万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔

 非力なエンジンをブンブン言わせ、R371を南下。和歌山県に入る。紀ノ川を
渡って、九度山村へ。昔、九度山は、関が原の戦の際、西軍についたがために
徳川家康に疎まれた真田幸村が幽閉されていたところで、その後、ここを抜け
出した幸村は、大阪冬の陣、夏の陣で獅子奮迅の活躍をしたのである。

 高野山を登っていく。道幅が狭く、ブラインドコーナーが続く。調子に乗ってコー
ナーを攻めると、突如として観光バスと出くわす。安全運転で行こうと自分を戒
める。

 渓流沿いの山道を走ると、心地よい冷たさの空気を全身に感じる。気温、湿
度、風、日差し、音、香り等の変化を五感で感じられるのがバイクツーリングの
醍醐味だと思う。そして、都会の日常生活で眠っている五感が研ぎ澄まされ、
道を選んだりする判断力が冴えてくるのが自分でも判るのだ。

 大きな赤い山門のある大きな道に出る。全く別の世界に来たような気分だ。
山門は高野山金剛峰寺のものだ。

 折角なので、見学する。突如、「天才は円。真空は金。」中学生の頃に覚えた
日本史の語呂が頭に浮かぶ。「天台宗、最澄、延暦寺。真言宗、空海、金剛峰
寺」として鎌倉時代の山岳密教を区別して覚えたが、あまり役にはたたなかっ
たように思う。友人と一緒なら、ここで自慢できたのに・・・・。(笑)


 しかし、高野山、たいしたものだ。山頂が町になっている。高野山大学の坊主
頭の学生が漫画雑誌を持ってブラブラ歩いているし、納骨に来た?団体客がド
ッと移動している。医者やコンビニもある。

 太平洋戦争末期に、ここに海軍高野山航空隊があったことをご存知だろう
か。航空兵養成の急務に大量採用した予科練習生を収容する場所がなく、宿
泊施設が整っていた高野山に航空隊を開隊し、教育・訓練をおこなったのであ
る。航空隊とは名前ばかりで、飛行場も飛行機もなかったことは言うまでもな
い。その他、宝塚航空隊(宝塚歌劇の講堂を利用)、奈良航空隊(天理教の宿
泊施設を利用)もあり、同様の状態であったようだ。

 いよいよ、竜神スカイラインに入る。その名称は、ライダーにとっては、特別の
ものだ。標高約1,000メートルの山の尾根を爽快に走る。文字通り、空を飛ん
でいるようだ。先日まで有料だったとのこと。

 途中、鶴姫公園で休憩。誰もいない。なるほど平日だ。代休を与えてくれる太
っ腹?な職場に感謝。(笑)設置されている風力発電施設を見ていると、スバル
と書かれている。こんなものまで製造しているとは、まさに総合重工業メーカ
ー。

竜神スカイライン

 展望台に上り、再度、人がいないのを確認してから「ヤッホー」と大声を出す。
山彦は返ってこない。少し危ない自分が虚しい。(笑)

 このあたりは、平家の落武者集落が多々あるところで、鶴姫伝説も平家落人
伝説のひとつだ。


風力発電機と、僕を待つCB125T

 続いて、護摩山スカイタワーに到着。山岳密教で焚く護摩木をイメージした建
物が目を惹く。しかし、閑散としており、少し物悲しい。休日ならライダーも沢山
休憩していることだろう。

 その後、お約束の竜神温泉に浸かる。日本三大美人の湯と呼ばれるだけあ
って、泉質がよく気持ち良い。




 山道を下って、和歌山県田辺市に出る。時計は18時。あらかじめ調べておい
た24時間営業のネットカフェに向かう。ネットカフェ、私のように宿泊にお金をか
けたくないなライダーにとって、こんな良いところはない。格安で泊まれ、シャワ
ーがあり、野宿より安全。

 ところが、到着すると、建物は仮設ハウス。しかも閉店。「おい、閉店したんな
らホームページ閉じとけ。」と悪態をつくが、勿論、誰も謝ってくれない。

 いきなり見知らぬ土地で行き場を失う。しかも陽が暮れてくる。田辺市あたり
はまだまだ田舎で、他のネットカフェは見当たらない。いつも持っている寝袋も
今日は自宅に置いてある。

 携帯電話を取り出すと、会社から電話が入っていたことに気づく。とりあえず
電話するが、当然、職場のみんなは退勤後。

 気を取り直して、暗くなった道を焦りながら国道を走る。いざとなったら、温泉
場の旅館に飯抜き宿泊を頼むつもりで腹を決める。

薄暗くなつた国道を焦りながらしばらく走ると、ビジネスホテルを発見。1泊朝食
付き、4800円、安い! しかし私のツーリングでは破格の贅沢。

 チェックインをするとまさに快適。早速シャワーを浴びで冷房をガンガンに冷や
し、火照った身体をベットに横たえる。ここで冷たいビールをグッといくと絵にな
るが、下戸の上、潰瘍持ちの私には、三ツ矢サイダーがお似合いだ。

 テレビをつけるため、100円を入れる。ところが、普通のチャンネルは無料で
あることに気づく。100円が勿体無いので、もう200円追加して、有料チャンネ
ルを視聴。誠に不本意!

 近所のスーパーに夕食を買いに行く。遠くに来たときは、いつもスーパーの総
菜コーナーでその土地独特のものを買い求めることにしている。さすがに海辺
の町。海鮮丼を購入。ところが後で気づいたら、イクラ、ウニ、鮭が乗っている。
北海道原産で、田辺のものではない。


平成17年6月18日(土)

快適な睡眠を経て、起床は6時。バイキングの朝食をガツガツ食べ、出発。

海辺の道を東へ向かう。どこまでも広がる太平洋を眺めながら、ゆるやかなコー
ナーを快適に飛ばす。潮風が心地良い。時々すれ違うライダー経ちとピースサ
インを取り交わす。

 白浜の温泉街を抜け、円月島の前で休憩。早朝ながら、沢山の自動車が停
まって、円月島を眺めている。
 正式には高島といい、臨海浦の南海上に浮かぶ南北130m、東西35m、高
さ25mの小島で、島の中央に円月形の海蝕洞がぽっかり開いていることから
円月島と呼ばれている。
 次に訪れたのは白良浜、延長600mもあるの遠浅の浜で、砂は真っ白でサ
ラサラ。絵に描いたような砂浜だ。まだ6月のしかも早朝ながら、何人かの子供
が泳いでいた。よく考えたら、白浜には慰安旅行などで何度も来ているが、白
良浜を見たのは初めてだ。


白浜のシンボル円月島

 南国ムードを漂わせるフェニックス並木を快調に走ると海岸線に戻る、太平洋
はでっかい。この海はどこまで続くのかと思いをめぐらす。色々な海を見てきた
が、太平洋の色は底抜けに明るい。日本海やオホーツク海は冷たい感じを受
ける。

 突如、恋人岬と書かれた看板を見つけ、停車。絶景と何となくくすぐったくなる
ネーミングに、ほくそえんで缶コーヒーを買う。説明看板を見ると脱力・・・・・。
(笑)ここは、ライダーの間ではB級スポットとして有名だと帰宅後、インターネッ
トで知る。




串本海中公園と海中から見たグレ(メジナ)の群

 ダイバーショップの林立する海岸線を進み潮岬に到着。遂に子供の頃から地
図で見ていた、本州最南端(北緯33度26分・東経135度46分)、憧れの地。

 早速、真っ青な海に向かって立つ潮岬灯台に登る。回転階段を駆け上がると
目が回りそうだ。どこまでも青い水平線が丸く見えるような気がする。この灯台
は、幕末の1866年(慶応2年)に、アメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ
国と結んだ「改税条約」によって建設することを約束した8ヶ所の灯台の一つと
のこと。




 今度は、これまで南東に進んでいた海岸線を徐々に北東に進む。日本地図で
見た紀州半島の形がイメージできる。

橋杭岩

 鯨漁業で有名な太地町に近づくと、落合博満野球記念館の看板が目を引く。
吸い込まれるように、現地に行くと誰もいない。駐車場にも一台の車も止まって
いない。入館料2000円。まるで、訪問を拒んでいるような雰囲気だ。折角来た
のだからと自分を励ますが、館内に流れる落合夫妻のデュエット曲に、遂に気
持ちが萎えてしまい退散。(笑)



 太地港でクジラ丼を食べる。懐かしい味と歯応え。私は、給食でクジラを食べ
た、最後の世代かもしれない。横浜ベイスターズが、かっては大洋ホエールズ
だったことを、最近の子供たちは知っているのだろうか。



 富士山が見える最遠の地(322.6q)、日本有数のマグロ漁業で有名な、那
智勝浦に到着。

いよいよ、今回の旅の目的、熊野が近づいてくる。熊野三山は、本宮(熊野本
宮大社)、新宮(熊野速玉大社)、那智(熊野那智大社)の3大社のことで、公
家、武家のみならず、庶民を含めた大勢の人が、「蟻の熊野詣」といわれるほ
ど、大勢の人々が列をなして熊野を詣でるようになったとのこと。

 山道を走っていると、突然、前方の山に那智の滝が現れる。荘厳な姿に言葉
を失う。バイクを止めて、汗みどろになりながら、熊野古道の石段を登っていく。
初めて見る那智の滝は、表現出来ないほど神々しい。原始の時代から、滝を神
として崇めていたことが理解できる。続いて、新宮、本宮とまわり、三山巡りを
完了する。


熊野古道と那智の滝




                    日本一のジャンボおみくじ


那智(熊野那智大社)           新宮(熊野速玉大社)



本宮(熊野本宮大社)



川湯温泉は、河原を掘ると温泉が出て来るが、
温泉に入るまでに汗みどろになる。



 熊野川沿いに大阪に向かって走る。いつも思うが、熊野川の美しさは、日本
でも指折りだと思う。四万十川と比肩するのではないか。

 十津川村は、高い山に囲まれたまさに秘境。国道にこれより携帯電話は繋が
らないという看板が立っている。


 谷瀬の釣橋で休憩。橋を渡るが、疲れているのかまっすぐ歩けない。その上、
子供が走り回るので、橋がゆれて、いよいよ歩けなくなる。途中で断念して引き
返す。ちなみに、北海道の新十津川は、この十津川村の人が移住したところ。

 19時半、真っ暗になった道を北に向かって走る。旅の終わりが近づいて来
る。疲れでボーッとしながらも、何とか自宅へ到着。1泊2日ながら、内容の濃
いツーリングが楽しめた。




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